パトロン契約

おすすめサイトBEST5
子供のころ、水商売が舞台のドラマを見ていて、頻繁にパトロンと言う言葉が飛び交っていたことを覚えている。
まだ、パトロンの意味も理解できない年ごろだったのだが、言葉の響きの良さから、意味もなく「パトロンパトロン」と口ずさんでいたものだ。
そして、僕も大人になって、男女の営みのからくりを知り、芋づる式に水商売やパトロンの本当の意味を理解していった。
僕が見ていたそのドラマも、小さなバーのママがパトロンを得て水商売の世界で成り上がっていくという内容だったのだなあ、と今となってはわかる。
僕の中では、いじめに耐えつつ、パトロンとの禁断の愛に身を焦がしつつ、自分の夢を成就させていくバーのママの献身ぶりが印象的だった。
いつか自分も、頑張る女性を陰からそっと見守るようなパトロンのようなダンディズム溢れる男になりたいものだなあ、と思ったものだ。
時は流れて、自分もある程度出世して、行きつけのバーなどができるようになった。不幸なのか幸いなのか婚期も逃した独身貴族だ。
・・・あれ?俺、いつの間にかパトロンができるトシになってるんじゃ?と、水割りを傾けながら気づく。
僕の言葉を耳に止めた僕より一回り年下であるカウンターレディのツキちゃんが「じゃあ、私とパトロン契約して、自分の店を持たせてくださいよ」と、ママに聞こえないように言ってくる。
僕は、そのツキちゃんが気に入って店に通っていることもあって、それも悪くないなと考えた。
ツキちゃんとパトロン契約をして、お金を渡して彼女を抱く。
彼女は、僕への思いに気付き、パトロンと恋愛の狭間に葛藤しながら、援助を元手に「クラブ月子」をオープンさせる。
昼の名前はツキコ、夜の名前は月子。そんな私はぬかるみの女。
開店の日、にぎやかな店内で彼女は僕の姿を求める。しかし、もう僕はそこにはいない。彼女は花輪の間に挟まれた一枚の手紙に気付く。
「君はもう一人でやっていける。僕の援助はいらない。君は自分の力で夢を叶えたんだ」
そのまま地面に泣き崩れる月子。その姿を僕は電柱の陰からそっと見守っていた。「頑張れよ」と心の中でエールを送りながら。
・・・あれ、このシナリオだと、俺、表舞台から退場してるじゃん!?
「ま、自分の店を持ったら、放漫経営でつぶす自信あるなあ。お客さんよりお酒飲んじゃったりしてさ」
ツキちゃんがスコッチのハーフロックを作ってくれながら言った。
彼女とはパトロン契約ではなくて、パパ契約あたりが妥当なのかな、とツキちゃんにスコッチをおごって一緒に笑った。
お金が欲しい
お金くれるパパ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です